失業保険(手当)いつからもらえる?いくら?期間と条件

失業保険(手当)いつからもらえる?いくら?期間と条件アイキャッチ 退職

失業すると収入が途絶えるため、転職活動に集中するのが難しいと感じるかもしれません。
そんな時に経済的な支えとなるのが「失業保険(失業手当)」です。

失業保険は、求職者が安心して再就職活動に取り組めるよう、国が給付する公的な制度です。
しかし、いつから、いくら、どのくらいの期間もらえるのか、どのような条件があるのかなど、その仕組みは複雑に感じられるかもしれません。

この記事では、失業保険の基本から、受け取れる条件、金額、期間、そして具体的な手続き方法までをわかりやすく解説します。
2025年4月1日に施行された「雇用保険法等の一部を改正する法律」に基づく最新情報も反映していますので、ぜひ参考にしてください。

  1. 失業保険(失業手当)とは?
  2. 失業保険を受け取れる条件
    1. 自己都合退職の場合(一般の離職者)
    2. 自己都合退職の場合(特定理由離職者)
    3. 会社都合退職の場合(特定受給資格者)
  3. 失業保険はいつからもらえる?
  4. 失業保険はいつまでもらえる?給付日数について
    1. 自己都合退職の場合などの給付日数(定年、契約期間満了、自己都合退職)
    2. 会社都合退職の場合などの給付日数(特定受給資格者、一部の特定理由離職者など)
  5. 受け取れる失業保険の金額は?計算方法とシミュレーション
    1. 賃金日額、基本手当日額の上限額
    2. 賃金日額、基本手当日額の下限額
    3. 基本手当日額の年齢別目安
    4. 受給額シミュレーション
      1. ケース1:28歳の会社員(月給28万円/6年勤務)が会社都合で離職した場合
      2. ケース2:28歳の会社員(月給28万円/6年勤務)が自己都合で離職した場合
  6. 失業保険をもらう5ステップ!手続きの流れと必要書類
    1. 【1】必要書類の準備
    2. 【2】ハローワークで手続きを行う
    3. 【3】雇用保険説明会への参加
    4. 【4】失業認定日にハローワークへ行く
    5. 【5】失業保険の受給
  7. 失業保険受給中のアルバイトはOK?
    1. 「待期期間中」のアルバイト・副業は避ける
    2. 「就業している」と見なされるほどの労働はNG
    3. ハローワークへの申告が必要
  8. 再就職したらお祝い金がもらえる?(再就職手当)
    1. 再就職手当の受給要件
    2. 再就職手当の受給額
    3. 再就職手当はいつ受け取れる?手続きの方法
  9. 失業保険受給中の健康保険や年金の支払いはどうする?
    1. 1. 任意継続保険の利用
    2. 2. 国民健康保険に加入
    3. 3. 配偶者の扶養家族になる
  10. 失業保険(失業手当)のメリット・デメリット
    1. メリット
    2. デメリット
  11. 失業保険に関するよくある質問
    1. 失業保険(失業手当)は手続き後、いつ振り込まれる?
    2. 失業保険(失業手当)の受給中に転職が決まった場合はどうなる?
    3. 失業保険(失業手当)を不正受給した場合はどうなる?
  12. まとめ

失業保険(失業手当)とは?

失業保険(失業手当)は、正式には「雇用保険の基本手当」といい、失業者が安定した生活を送りながら、一日も早く再就職できるよう支援するために給付されるものです。

失業保険の目的は、求職者の生活の安定と早期の再就職の促進です。

制度の正式名称 一般的な呼称 目的
基本手当 失業手当、失業保険 求職者が安心して再就職活動を行うための生活支援

失業保険を受け取るためには、以下の3つの基本的な条件を満たす必要があります。

  • 雇用保険に加入し、保険料を支払っていること
  • 離職の日以前2年間に12カ月以上の雇用保険の被保険者期間があること(特定受給資格者等の場合は離職の日以前1年間に6カ月以上)
  • 就労の意思と能力があり、求職活動を行っていること

給付額は、失業前の給与額と年齢によって異なり、給付が始まるまでの期間は退職理由によって変わります。

参照元: 厚生労働省|雇用保険事務手続きの手引き 第13章 失業給付について

失業保険を受け取れる条件

失業保険を受け取れる条件画像

失業保険の基本手当を受け取るには、ハローワークが定める「失業の状態」であることが前提です。

「失業の状態」とは、「就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにも関わらず、職業に就くことができない」と定義されています。

そのため、以下のような場合は、失業保険を受け取ることができません。

  • 退職してすぐに転職する人
  • 就職する意思がない人
  • ケガや病気、妊娠・出産などですぐに就職するのが困難な人

また、「失業の状態」にあるすべての方が失業保険を受給できるわけではなく、離職前の勤務先で雇用保険に加入しており、かつ一定の条件を満たした方のみが対象となります。

失業保険の受給条件は、離職理由が「自己都合」か「会社都合」かによって異なります。

参照元: ハローワーク|基本手当について「受給要件」

 

自己都合退職の場合(一般の離職者)

「一般の離職者」とは、ご自身の意思で会社を辞めた方を指します。
例えば、現在の仕事内容や待遇よりも良い条件の職場を求めて転職する場合や、独立して新しい事業を始めるために退職する場合などがこれに該当します。
つまり、病気や家族の介護といったやむを得ない事情ではなく、自らの希望や計画に基づいて会社を離れるケースが「自己都合退職」として扱われます。
この場合、失業保険の受給開始までには、会社都合退職の場合と比べて一定の期間が設けられるなど、いくつかの条件があります。

離職理由 雇用保険の条件
自己都合退職(一般の離職者) 離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上あること

一般的な転職の多くがこのケースに当てはまりますが、退職にあたり自分の意思に反する正当な理由(病気や家族の介護など)がある場合は、次に紹介する「特定理由離職者」として認められることがあります。

自己都合退職の場合(特定理由離職者)

「自己都合退職」と聞くと、自分の意思で会社を辞めた場合を想像しがちですが、実はその中には、自分の意思に反する「正当な理由」があるために退職せざるを得なかったケースも含まれます。
このような場合、ハローワークによって「特定理由離職者」として認定され、失業保険の給付において、通常の自己都合退職者とは異なる扱いを受けられます。

特定理由離職者として認められるのは、主に以下のような状況に直面した方々です。

 

  • 有期労働契約の更新を希望したにもかかわらず、それが認められずに離職した方。 契約期間満了による退職であっても、本来は働き続けたいという意思があった場合が該当します。
  • 出産や育児を理由に離職し、失業保険の受給期間延長措置を利用した方。 育児に専念するために一時的に離職せざるを得なかったものの、再就職の意思がある場合などが該当します。
  • ご両親の扶養や介護など、家庭の事情が急変したことで離職した方。 家庭のやむを得ない事情で、仕事との両立が困難になった場合が考えられます。
  • 配偶者や扶養親族との別居生活を続けることが困難になり、離職した方。 例えば、配偶者の転勤に伴い転居し、現在の職場に通うことが不可能になった場合などが該当します。
  • 特定の理由により、現在の職場への通勤が著しく困難になった方。 会社の移転やご自身の転居などで、通勤時間が大幅に増え、体力的な負担が大きくなった場合などが該当します。
  • 企業の人員整理に伴う希望退職者の募集に応募して離職した方。 会社側の都合による人員削減ですが、形式上は自己都合退職となるケースです。

 

これらの理由で退職した場合、通常の自己都合退職よりも失業保険の給付が早く始まるなど、手厚い措置が受けられる可能性があります。
ご自身の退職理由が「特定理由離職者」に該当するかどうかは、ハローワークで相談し、具体的な状況を伝えることで判断してもらえます。

離職理由 雇用保険の条件
自己都合退職(特定理由離職者) 離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上あること

会社都合退職の場合(特定受給資格者)

「特定受給資格者」とは、ご自身の意思とは関係なく、会社側の都合によって離職せざるを得なかった方を指します。
具体的には、企業の倒産や事業所の廃止、または一方的な解雇などによって、再就職の準備をする時間的な余裕がないまま職を失ってしまった場合がこれに該当します。

このような状況で離職された方は、予期せぬ形で失業状態になったため、通常の自己都合退職者よりも手厚い失業保険の給付が受けられるよう、特に配慮されています。
早期の生活再建と再就職を支援するために、給付開始までの待期期間が短縮されるなどの優遇措置が適用されます。
ご自身の離職理由が「特定受給資格者」に該当するかは、離職票の内容やハローワークの判断によって決まります。

 

離職理由 雇用保険の条件
会社都合退職(特定受給資格者) 離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上あること

 

被保険者期間とは: 雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1カ月ごとに区切っていった期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月、または賃金支払いの基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1カ月として計算します。
なお、1カ月ごとに区切っていった期間が満1カ月に満たない場合は、1カ月とは計算されません(15日以上、満1カ月未満の場合は2分の1カ月として計算される場合もあります)。

失業保険はいつからもらえる?

失業保険(雇用保険の基本手当)は、ハローワークで所定の手続きを終えた後、決められた給付日数の中で、4週間ごとに失業の認定を受けることで支給されます。ただし、手続きをしたらすぐに振り込まれるわけではないので注意が必要です。

まず、離職票を提出して求職の申し込みを行った「受給資格決定日」から数えて、7日間は「待期期間」となります。この7日間は、退職理由に関わらず、すべての方が失業保険を受け取ることができません。
これは、本当に失業状態であるかを確認するための期間とされています。

待期期間が終了した後の支給開始タイミングは、退職理由によって大きく異なります。
大きく分けて「自己都合退職(一般の離職者)」と「会社都合退職(特定受給資格者、特定理由離職者)」の2つのパターンがあります。

会社都合退職と認定された「特定受給資格者」や、やむを得ない事情で退職したと認められた「特定理由離職者」の場合は、この7日間の待期期間が終われば、比較的早く失業保険の支給が開始されます。

一方で、転職や独立など、ご自身の意思で退職した「自己都合退職(一般の離職者)」の場合には、7日間の待期期間に加えて、さらに1カ月の「給付制限」が設けられます。この給付制限期間中は、失業保険が支給されません。
そのため、自己都合退職の場合は、会社都合退職よりも支給開始が遅くなることを理解しておく必要があります。

どの離職理由に該当するかで、失業保険の支給開始時期が大きく変わるため、ご自身の状況を正確に把握し、必要な手続きを早めに行うことが大切です。

離職理由 支給開始までの期間 備考
会社都合退職

(特定受給資格者、特定理由離職者)

7日間の待期期間後から支給開始 2025年4月1日より、離職日前1年以内または離職日以後に「雇用の安定・就職の促進のための教育訓練(教育訓練等)」を受けた場合も、待期期間後から支給が開始されます。
自己都合退職

(一般の離職者)

7日間の待期期間+1カ月(給付制限)後から支給開始 退職日以前5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職をしている場合の給付制限は3カ月です。

上記のいずれの場合でも、実際に手当が口座に振り込まれるのは、失業の認定を受けてから約1カ月後となります。

失業保険はいつまでもらえる?給付日数について

失業保険がもらえる期間は、「所定給付日数」として定められており、これは個々の状況によって異なります。
具体的には、会社を辞めた理由(自己都合か会社都合か)、離職時の年齢、そして雇用保険に加入していた期間によって、給付される日数が決まります。

たとえば、会社都合で離職した場合は、自己都合の場合よりも長く給付される傾向がありますし、勤続年数が長いほど、また年齢が高いほど、所定給付日数が多くなるのが一般的です。
ご自身の具体的な給付日数は、ハローワークでの手続きを通じて確認できます。
退職を検討する際は、これらの要素を事前に把握し、どのくらいの期間、経済的な支援が受けられるのかを理解しておくことが大切です。

 

自己都合退職の場合などの給付日数(定年、契約期間満了、自己都合退職)

被保険者期間 10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢共通 90日 120日 150日

会社都合退職の場合などの給付日数(特定受給資格者、一部の特定理由離職者など)

離職時の年齢 被保険者期間 1年未満 被保険者期間 1年以上5年未満 被保険者期間 5年以上10年未満 被保険者期間 10年以上20年未満 被保険者期間 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

失業保険の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間となっています。
手続きが遅れ、給付日数が残っているにも関わらず最後まで受給できなかったとならないよう、早めの準備・申請を行いましょう。

注釈: 2025年4月現在、特例により給付日数の延長、給付制限期間の免除がある場合があります。詳細は厚生労働省のホームページなどでご確認ください。

受け取れる失業保険の金額は?計算方法とシミュレーション

受け取れる失業保険の金額は?計算方法とシミュレーション画像

失業保険の受給額は、「給付日数 × 基本手当日額」で決まります。

基本手当日額」とは、失業保険の1日あたりの給付額のことで、離職者の「賃金日額」をもとに以下の計算式で算出されます。

  • ※60~64歳の場合は45~80%

なお、基本手当日額と賃金日額には、それぞれ上限額と下限額が設定されています。
(以下の上限・下限額は令和6年8月1日時点のもの)

 

賃金日額、基本手当日額の上限額

離職時の年齢 賃金日額の上限額 基本手当日額の上限額
29歳以下 14,130円 7,065円
30~44歳 15,690円 7,845円
45~59歳 17,270円 8,635円
60~64歳 16,490円 7,420円

賃金日額、基本手当日額の下限額

賃金日額の下限額 基本手当日額の下限額
2,869円 2,295円

基本手当日額の年齢別目安

上記の上限額・下限額を踏まえた年齢別の基本手当日額の目安は以下のとおりです。

離職時の年齢 賃金日額(w) 給付率 基本手当日額(y)
29歳以下 2,869円以上5,200円未満 80% 2,295円~4,159円
5,200円以上12,790円以下 50〜80% 4,160円~6,395円(※2)
12,790円超14,130円以下 50% 6,395円~7,065円
14,130円(上限額)超 7,065円(上限額)
30~44歳 2,869円以上5,200円未満 80% 2,295円~4,159円
5,200円以上12,790円以下 50〜80% 4,160円~6,395円(※2)
12,790円超15,690円以下 50% 6,395円~7,845円
15,690円(上限額)超 7,845円(上限額)
45~59歳 2,869円以上5,200円未満 80% 2,295円~4,159円
5,200円以上12,790円以下 50〜80% 4,160円~6,395円(※2)
12,790円超17,270円以下 50% 6,395円~8,635円
17,270円(上限額)超 8,635円(上限額)
60~64歳 2,869円以上5,200円未満 80% 2,295円~4,159円
5,200円以上11,490円以下 45~80% 4,160円~5,170円(※3)
11,490円超16,490円以下 45% 5,170円~7,420円
16,490円(上限額)超 7,420円(上限額)

参照元:厚生労働省による「令和6年8月1日からの賃金日額・基本手当日額

  • ※1 厚生労働省による「令和6年8月1日からの賃金日額・基本手当日額」を参照
  • ※2 y=0.8w-0.3{(w-5,200)/7,590}wをもとに算出
  • ※3 y=0.8w-0.35{(w-5,200)/6,290}w、y=0.05w+4,596のいずれか低いほうの額

基本手当日額に、それぞれの条件に応じた給付日数をかけることで、受給可能な失業手当の総額が分かります。

受給額シミュレーション

ケース1:28歳の会社員(月給28万円/6年勤務)が会社都合で離職した場合

  • 賃金日額 = 28万円 × 6カ月 ÷ 180 = 約9,333円
  • 基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50~80%) = 約5,941円
  • 給付日数 = 120日(会社都合退職、30歳未満、被保険者期間5年以上10年未満)
  • 総受給額 = 基本手当日額 × 給付日数 = 5,941円 × 120日 = 約712,920円

このケースでは、会社都合による離職のため、受給資格認定後7日間の待期期間を経て、最大約71万円の失業保険を受け取れます。

ケース2:28歳の会社員(月給28万円/6年勤務)が自己都合で離職した場合

  • 賃金日額 = 28万円 × 6カ月 ÷ 180 = 約9,333円
  • 基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50~80%) = 約5,941円
  • 給付日数 = 90日(自己都合退職、被保険者期間10年未満)
  • 総受給額 = 基本手当日額 × 受給日数 = 5,941円 × 90日 = 約534,690円

自己都合による離職の場合は、給付制限が設けられるため、待期期間+1カ月経過後から、最大約53万円の失業保険を受け取れるということになります。

注意点: 正確な基本手当日額を算出する計算式は複雑なため、実際の給付額を知りたい場合はハローワークに問い合わせましょう。

失業保険をもらう5ステップ!手続きの流れと必要書類

失業保険をもらう5ステップ!手続きの流れと必要書類画像

失業保険を受け取るためには、ハローワークで定められた手続きをきちんと踏む必要があります。
単に退職しただけでは支給されず、ご自身で申請を行い、説明会への参加や失業の認定を受けるといった一連の流れがあるのです。

ここでは、失業保険を受け取るために必要な手続きを5つのステップに分けて解説します。
必要な書類の準備からハローワークでの具体的な申請方法まで、順を追って見ていきましょう。
これらのステップを理解し、適切に進めることで、スムーズに失業保険の受給を開始できます。

【1】必要書類の準備

失業保険を受給するためには、いくつかの必要書類があります。
以下を参考に準備しましょう。

  • 雇用保険被保険者離職票-1、2
    • (離職票の発行方法や書き方は、別途「離職票とは?いつ届く?発行手続きや書き方、再発行のやり方」を参照してください)
  • マイナンバーカード
    • マイナンバーカードがない場合は、以下<1>と<2>を準備
      • <1>マイナンバーが確認できる書類(どれか一つ)
        • 通知カード、個人番号の記載がある住民票(住民票記載事項証明書)
      • <2>身元確認書類((1)がない場合は(2))
        • (1)運転免許証、官公署が発行した身分証明書・写真付き資格証明書等のうち1種類
        • (2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書などのうち異なる2種類(コピー不可)
  • 証明写真(縦3cm×横2.4cm)2枚
    • 以後の支給申請を含め、すべての手続きでマイナンバーカードを持参する場合は不要
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
    • 一部指定できない金融機関があります
    • 離職票-1の金融機関指定届に金融機関による確認印がある場合、通帳は不要
  • 船員であった人は船員保険失業保険証および船員手帳

【2】ハローワークで手続きを行う

書類の準備が整ったら、現住所を管轄するハローワークへ行き、以下の手続きを行いましょう。

失業保険の給付を受けるためには、再就職の意思を示すため、求職の申し込みが必須です。

  • 求職申し込み
  • 離職票など必要書類の提出
  • 雇用保険説明会の日時決定

求職の申し込みを行い、必要書類を提出した日が「受給資格決定日」となります。この日から7日間は「待期期間」となり失業手当は受給できません。

次のステップとなる雇用保険説明会についても担当者から案内があるため、日時などをしっかりメモしておきましょう。

【3】雇用保険説明会への参加

ハローワークでの求職申し込みと書類提出が完了したら、次に雇用保険説明会への参加が必須となります。
この説明会は、あなたが失業保険を受け取るための重要なステップであり、ハローワークの担当者から指定された日時に必ず出席してください。

説明会では、失業保険の制度内容や受給中のルール、求職活動の具体的な方法など、受給に必要な情報が詳しく説明されます。
そして、この説明会に参加することで、あなたが今後ハローワークへ定期的に訪れる「失業認定日」が決定されます。
この認定日に失業状態であると認められることで、初めて失業保険が支給されるため、説明会への参加は非常に重要です。

【4】失業認定日にハローワークへ行く

雇用保険説明会で決定した「失業認定日」には、必ずハローワークへ足を運び、失業認定申告書を提出して失業の認定を受けましょう
この失業認定は、失業保険が支給されるために不可欠な手続きです。

失業の認定を受けるには、原則として月に2回以上の求職活動を行う必要があります。
求職活動には、ハローワークでの職業相談や求人への応募、各種セミナーへの参加などが含まれます。これらの活動実績を失業認定申告書に詳しく記載し、ハローワークに提出することで、あなたが積極的に再就職を目指していることが認められ、失業保険の支給につながります。
忘れずに活動を行い、申告書に正確に記入することが重要です。

【5】失業保険の受給

失業認定が完了すれば、いよいよ失業保険の振り込みです。
失業保険は、失業認定日から通常5営業日後に、事前に指定した銀行口座へ振り込まれます。もし給付制限期間がある場合は、2回目の失業認定日から同様に5営業日後に振り込まれることになります。

一度支給が始まっても、これで終わりではありません。失業保険を受け取り続けるためには、原則として4週間に1回の頻度で設定される認定日に、ハローワークで失業の認定を受け続ける必要があります。
これは、あなたが継続して再就職活動を行っているかを確認するための大切な手続きです。
忘れずに認定日にハローワークへ行き、必要な手続きを行いましょう。

失業保険受給中のアルバイトはOK?

失業保険受給中のアルバイトはOK?画像

失業保険の受給中、少しでも収入を得るためにアルバイトなどを検討する人もいるでしょう。
失業保険の受給中のアルバイトは禁止されていませんが、一定の条件があります。

1日の労働時間や収入額によっては、失業保険が減額されたり、支給が先送りになったりすることがありますので、以下の点に注意してください。

 

「待期期間中」のアルバイト・副業は避ける

必要書類を提出し、求職申し込みを行った日から7日間は「待期期間」と呼ばれ、失業保険の受給が制限される期間です。

この待期期間にアルバイトなどで収入を得てしまうと、受給開始のタイミングが遅くなる可能性がありますので、避けたほうが良いでしょう。

「就業している」と見なされるほどの労働はNG

上記の「待期期間中」を除けば、失業保険受給中に短期・短時間のアルバイトをすることは問題ありません。
ただし、4時間以上働いた日は、失業手当の支給はありません

ところが、所定の労働時間を超えると「就業した(失業中ではなくなった)」と見なされ、失業保険の受給資格を失ってしまうため、要注意です。

週20時間以上の労働(※)」の場合と、「31日以上の雇用が見込まれる」場合は、雇用されている労働者として、雇用保険の加入条件を満たしてしまい、失業の状態ではなくなってしまいます。
アルバイトをする場合、この上限を超えない範囲に収めましょう。

注釈: 2028年10月1日より「10時間以上の労働」に改正されます。

ハローワークへの申告が必要

また、アルバイトをする場合は、収入の多少に関わらず、ハローワークへの申告が必要となります。

この申告をしない場合、不正に失業保険を受給しようとしていると見なされ、罰則が適用されてしまう可能性があります。忘れずに申告しましょう。

再就職したらお祝い金がもらえる?(再就職手当)

再就職したらお祝い金がもらえる?(再就職手当)画像

失業保険(雇用保険の基本手当)の受給中に再就職した場合、一定の条件を満たせば、「再就職手当(お祝い金)」がもらえます。

再就職手当は、「失業保険を満額もらうまで再就職しないようにしよう」と考え、失業期間が長くなってしまうのを防ぎ、早期の再就職を促すために設けられた制度です。

 

再就職手当の受給要件

再就職手当は、失業保険の所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して安定した職業に就き、以下の8つの要件すべてを満たした場合に支給されます。

  • 就職日前日までの失業の認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
  • 7日間の待期期間満了後の就職であること
  • 1年を超えて勤務することが確実であると認められること
  • 再就職先が前職と関係ないこと(前職の関連企業や取引先なども含む)
  • 離職理由による給付制限を受けた場合は、待期期間満了後1カ月間については、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介により就職したものであること
  • 過去3年以内に、再就職手当や常用就職支度手当の支給を受けていないこと
  • 失業保険の受給資格決定前から内定していた再就職先でないこと
  • 雇用保険の被保険者となる就職であること

再就職手当の受給額

再就職手当の受給額は、失業保険の支給残日数によって変わります。

失業保険の支給残日数 再就職手当の計算式
3分の2以上 基本手当日額 × 所定給付日数の残日数 × 70%
3分の1以上 基本手当日額 × 所定給付日数の残日数 × 60%

再就職手当はいつ受け取れる?手続きの方法

再就職手当をもらうには、所定の手続きが必要です。
再就職が決まったら、まずはハローワークに報告しましょう。

再就職先にて「採用証明書」などの再就職したことを証明するための書類を記入してもらったうえで、再就職の前日までにハローワークへ行き、最後の失業認定を受けます。
その際必要な書類は、採用証明書、失業認定申告書、雇用保険受給資格者証です。

この時点で、再就職手当を受給できる可能性がある場合、ハローワークから「再就職手当支給申請書」を受け取ります。
再就職手当支給申請書に必要事項を記入し、ハローワークに提出することで、再就職手当の申請は完了です。

再就職手当の申請が受理されると、1カ月程度で再就職手当が振り込まれます

失業保険受給中の健康保険や年金の支払いはどうする?

失業保険受給中の健康保険や年金の支払いはどうする?画像

離職し、失業保険を受給している間でも、基本的には健康保険や年金の支払いが発生します。

そのうち、失業中の健康保険の支払いには、3つの選択肢があります。

 

1. 任意継続保険の利用

項目 内容
概要 前職での健康保険組合の保険に引き続き加入する
保険料 会社負担がなくなるため、全額自己負担になる
手続き 離職日から20日以内に加入手続きが必要
加入期間 最長2年間

2. 国民健康保険に加入

項目 内容
概要 前職での健康保険を脱退し、国民健康保険に加入する
保険料 解雇など会社都合による離職の場合、保険料が減免される可能性がある

3. 配偶者の扶養家族になる

項目 内容
概要 配偶者が加入している健康保険の扶養家族になる
注意点 失業手当は収入と見なされるため、扶養家族の収入制限にかからないか条件を確認する必要がある

なお、国民年金や住民税は、自治体によって支払いの免除や納付を待ってもらえるケースがあるため、市区町村の窓口に相談してみましょう。

関連情報: 退職時の税金や年金、社会保険の手続きについて、詳しくは「健康保険証の切り替え方法、マイナ保険証だと手続きはどうする?」や「転職時の税金・年金・社会保険の手続き」を参考にしてください。

失業保険(失業手当)のメリット・デメリット

会社を辞める際、経済的な支えとなる失業保険ですが、受給にはメリットとデメリットがあります。

メリット

失業保険を受給できれば、求職中の生活に必要なお金の心配を軽減できます。

退職までに十分な貯金ができていれば生活費には困らないかもしれませんが、転職活動にはなにかとお金がかかるものです。少しでも貯金を崩さずに生活できるなら、それに越したことはないでしょう。

金銭面の不安は、そのまま転職活動の焦りへつながります。焦るあまり転職先選びで妥協してしまったり、アルバイトなどを始めて時間の余裕がなくなったりするケースは意外と多いものです。心配や不安を抱えることなく転職活動に専念し、希望条件に合う転職先をじっくり探すことができるでしょう。

関連情報: 転職活動中にかかる費用・お金はいくら?貯金が必要なケースも解説

デメリット

一度失業保険を受給すると、雇用保険の加入期間はゼロにリセットされます。

そのため、一度目の退職後に失業保険を受給し、その後転職した会社を1年未満(特定受給資格者等であれば6カ月未満)で退職した場合は、二度目の求職期間中は失業保険がもらえません(失業保険を受けるには、12カ月以上の被保険者期間(特定受給資格者等は6カ月以上)が必要です)。

また、雇用保険への加入期間がある程度長くないと、失業保険の給付日数は増えないため、2~3年の間隔で就職と退職を繰り返すと、受給は短い期間に留まります。

この仕組みを知らずに「失業保険があるから大丈夫」と安易に自己都合の退職を繰り返すと、生活に必要なお金が不足してしまう可能性があります。

失業保険に関するよくある質問

失業保険(失業手当)は手続き後、いつ振り込まれる?

離職理由 支給開始までの目安
会社都合(特定受給資格者) 離職票など必要書類の提出と求職申し込みを行った日から数えて7日間の「待期期間」終了後、4週間経過後に最初の失業認定を受け、約1カ月後に入金されます。目安として、求職申込日の約2カ月後に、初回の失業保険が振り込まれます。
自己都合(一般の離職者) 7日間の「待期期間」終了後、更に1カ月の「給付制限」の後、4週間経過後に最初の失業認定を受け、約1カ月後に入金されます。目安として、求職申込日の約3カ月後に、初回の失業保険が振り込まれます。

失業保険(失業手当)の受給中に転職が決まった場合はどうなる?

失業保険を受給している期間に転職が決まった場合は、ハローワークで失業保険の受給停止手続きが必要です。

これは「就職の申告」と呼ばれ、これによって失業期間を転職先企業への入社日の前日までにする、という認定を受けます。入社日の前日までに済ませておくと、スムーズでしょう。

失業保険(失業手当)を不正受給した場合はどうなる?

失業保険の不正受給はさまざまなルートから発覚し、ペナルティが科せられます。

ペナルティの内容は、支給停止や返還命令、年率5%の延滞金などが基本です。
加えて、悪質と判断される場合には、受給額の2倍相当の納付命令や刑事告訴が行われることもあるため、絶対にやめましょう。

また、事業者が不正受給の指示やほう助を行うと、連帯返還を命じられます。

まとめ

失業保険(失業手当)は、働く意欲があり、いつでも就労できる状態の求職者へ給付を行う雇用保険の制度です。正しく理解し活用すれば、転職活動時の生活資金を確保でき、安心して転職先を探すことができます。

手続きを進める際は、必要書類をそろえてハローワークへ足を運ぶ必要もあります。
妥協や失敗のない転職を実現するためにも、事前にしっかりと情報を確認しておきましょう。

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