私は今日、5年間勤めた会社を辞めた。
最後の日、部署の人たちが小さな送別会を開いてくれた。 「お疲れ様でした」「頑張ってください」 みんな優しい言葉をかけてくれる。
でも、なんだか違和感があった。
5年前、新卒で入社したとき、 私は「絶対に成果を出してやる」と意気込んでいた。 残業も休日出勤も、全部やりがいだと思っていた。
「若いうちは苦労しなさい」 「今頑張っておけば、きっと報われる」 先輩たちの言葉を信じて、私は走り続けた。
でも、3年目のある日、気づいてしまった。 毎日終電で帰る私を横目に、 定時で帰る同期が昇進していく現実を。
「あの子、要領がいいよね」 「やっぱりコミュニケーション力って大事だよね」 そんな声が聞こえてくる。
私は間違っていたのだろうか。 真面目に、一生懸命に働くことが。
4年目、ついに体を壊した。 でも、休んでいる間も仕事のことが頭から離れなかった。 「私がいないと、みんなに迷惑がかかる」 そう思い込んでいた。
復帰後、上司に言われた。 「君がいなくても、意外と回るもんだね」 笑いながら言われたその言葉が、 私の心に深く刺さった。
5年目、私は会社を辞めることを決意した。 周りからは「もったいない」と言われた。 「せっかく慣れた職場なのに」 「新しい環境で一からやり直すなんて」
でも、私は気づいてしまった。 「お疲れ様でした」という言葉の重さを。
それは、ただの挨拶じゃない。 「よく頑張ったね」という労いでもない。 「もうこれ以上、無理しなくていいよ」という、 優しいけれど、どこか諦めにも似た言葉だった。
今日、最後の「お疲れ様でした」を聞いたとき、 私は初めて、その言葉を素直に受け取ることができた。
私は、本当に「お疲れ様」だった。 5年間、自分なりに精一杯頑張った。 それで十分だった。
明日から、新しい人生が始まる。 今度は、「お疲れ様」と言われる前に、 自分で自分の頑張りを認めてあげたい。
この文章が、今まさに悩んでいる誰かに届いたら嬉しいです。 頑張りすぎてしまう人へ。
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